沙耶の唄を読んだ(ネタバレします)

勝手に宣伝する奴。

www.amazon.co.jp

10年ぐらい前でしょうか?誰もが見たことのあるこの画像。

例のヤツ

こちらが沙耶の唄のヒロイン沙耶ちゃんでございます。

「保存するとあら不思議、かわいいかわいい沙耶ちゃんが何とあんな姿に…」

で有名な画像ですね。一種のブラクラとも検索してはいけないワードとも

言われていた時期があったようななかったような。

 

ネタバレですが、ざっくりまとめると

突然の交通事故で両親がミンチに!奇跡的に助かった主人公だったが、

事故の後遺症で世界が肉塊だらけに。まるで生き地獄の生活に絶望しかける主人公、

そんな中、ただ一人だけ人間として認識できる存在に出会う。それが”沙耶”だった…。

 

両親が居ないのを良いことに、沙耶ちゃんを自宅に連れ込んで事実婚状態。

沙耶ちゃんにぞっこんラブで学校もさぼるし付き合いも悪くなる主人公。

そんな主人公の変化を心配した友人が彼の家を訪ねると、

部屋中に塗りたくられた気味が悪い塗装、そして悪臭漂う空間が広がっていた。

なんじゃこりゃ~!とビビっていると天井から突然謎の生物が!!

 

なんと”沙耶ちゃん”は怪物なのでした!

 

異常に気付きながらそれでも良いと沙耶ちゃんと愛をはぐくむ主人公、

そんな主人公を何としても救おうと次々と犠牲になっていく友人たち。

主人公の主治医と協力して主人公を救い、沙耶ちゃんを倒そう!

というハートフルアクションストーリー

 

一読した感想ですがなんで主人公は後遺症を負ったのか?というところ。

主人公は事故で頭部に外傷を負い、硬膜外血腫という症状が発症した模様。

この硬膜外血腫というのは頭蓋骨と脳の隙間にゼリー状のぶよぶよ的な血腫が

発生、脳を圧迫。結果障害や最悪の場合脳死状態に陥るという恐ろしい症状。

脳って大事ですね。頑張って守りましょう。詳しい症状はググってね。

 

主人公はT大学付属病院にて、マイクロマシン(最先端医療)を用いた手術で

血腫を取り除くことに成功。無事に意識を取り戻して回復。

 

ここで疑問なのが、

硬膜外血腫の後遺症で認識障害(人間が人外に見えたりする症状)を引き起こすのか?

実際、硬膜外血腫の後遺症で視覚障害認知障害が発生する例は少なくない模様。

しかしながらここで敢えて全て沙耶の手のひらで転がされていた説を提唱したい。

 

主人公である匂坂郁紀(ふみのり)が事故に遭遇したのは物語から3か月前。

主人公の友人が現在の季節を11月であると発言しているシーンが在るため、

事故は8月の出来事と推測できる。奥涯の不祥事がいつであるかの明記はないが、

沙耶が病院内に現れるようになったのが今年の春。

時系列的には、

 

 沙耶の誕生→奥涯の不祥事&失踪→郁紀の事故→沙耶と郁紀の出会いとなる。

 

 

ここで発生する疑問が二つある。

 

①奥涯はなぜ沙耶を置いて死んだのか

②郁紀の認知障害は本当に事故の影響によるのか?

 

ということで其々について軽く考えてみたい。

 

①奥涯はなぜ沙耶を置いて死んだのか

 奥涯の異端性は彼の書庫に存在した書籍からもなんとなく察することができる。

 (Ars MagnaTraite des ChiffresVoynich Manuscript)

 

 新たな世界の創設者になりたかったのか、新たな歴史の一ページを開きたかったのか

 あるいは人類補完計画よろしく世界を作りかえることを望んだのか・・。

 

 沙耶と名づけられる前のこの存在は

 ・何らかの生命体である。恐らくは別次元の宇宙から召喚されたもの。

 ・自我は希薄。見られるのは食欲と知的好奇心のみ

 ・数学については人間の知能をはるかに凌駕する能力を持つ

 ・嘘をついて虚勢を張ることが無い            と述べられている。

 

 奥涯はこの存在の事を「高次の知能体によって設計された人工知能と推察している。

 そして奥涯と生活していく中で彼はとくに社会学と自然科学、

 つまるところ”人間という存在”について興味を持ち始め、

 より知見を深めるために「人間の精子」を奥涯に要求しはじめる。

 

 ここで奥涯は彼が胎を持つ存在、雌であることに気が付き、沙耶という名を与える。

 以後、彼女はより独立した感情表現や思考を持つように。

 

 奥涯が試しに実験用のラットの精子を彼女に与えると、

 彼女はラットの遺伝子情報を書き換えた、新たな生命体を作り出した。

 奥涯は彼女の遺伝子書き換え能力に感動し、このラットをより詳しく研究しようと

 病院に持ち込むのだが、奥涯は病院内にラットを逃がしてしまい(恐らく)、後に失踪。

 

 で、ここでなぜ沙耶を奥涯の死んだ場所である山奥の別荘へ連れていかなかったのか

 という疑問が発生します。一緒に連れていってもよくない?

 

 ちなみに奥涯の東京の自室に放置されたカレンダーが4月で止まっている事、

 空っぽのスーツケースがみつかっていることから考えるに

 準備する間もなく、4月に失踪したことがわかります。

 

可能性として、 

 仮説①

  責任を取って姿をくらますことを求められた奥涯は着の身着のまま 

  別荘地へと姿をくらます。後の事は沙耶がなんとかしてくれるだろうと

  世界に別れを告げ、自殺。

 仮設②

  自分のしていた研究が如何に恐ろしいことだったのかということに気づいた

  奥涯はその恐れから自殺。

 

 が考えられるかなぁ、とにかくこっそりでも自宅に戻れない理由があったのでしょう。

 あと奥涯の死体についてかなり疑問があるのですが、

 人間って半年そこらでミイラ化するもんなんですかね?

 死亡時の体躯が子供位であったと思いますが、最初から奥涯氏はその身長だったのか?

 地下室には異臭や粘液に対する描写が無かったため沙耶がそこで生活していたのか

 判断しかねます。

 

 ただ、この地下室にて『鏡や水晶、反射するものは黒く塗りつぶす』必要があると

 説明されています。つまり?→ここはクトゥルフのあれがあるかと思うんで

 後で検証します

 

仮説③

 実は沙耶も一緒に東京から別荘に来ていた。奥涯が彼女を元の宇宙に返そうとするも

 もはや彼女にとって人間はおもちゃでしかない。

 彼女により脳の神経回路をいじられた奥涯は発狂して自害?

仮説④

 そもそも東京のアパートは奥涯が一人で暮らしていた場所であり、

 沙耶は別荘地にてひそかに飼育されていた。不祥事の後、奥涯はやはり沙耶を

 元の宇宙に返すべく奔走するも発狂して自害?

 

 奥涯との会話や知識を頼りに東京へ練り出す沙耶。

 日中は人間に見つからない様に奥涯の自室に潜伏。

 夜は病院に侵入しては猫を捕食、ばれないように風呂場に捨てていく。

 そのうち猫では飽き足らず、人間の臓器や胎児にまで手を出すようになっていく。

 

 なんだかんだ人間に興味は在るが、正常な人間に見つかってしまえば

 どうされるかわからない。そうだ、精神異常者ならば私を見たといっても

 誰にも信用されずに済むだろう。いえーい異常者さんこんちわー!という風に。

 

 実は全て沙耶の手のひらの上で踊らされていただけなのでは無かろうか…?

 ちょっと疲れたのでここにて休息です。また気分が載ったら書きます。ふう